バイオスティミュラント資材とは、近年ヨーロッパを中心に注目されている農業資材カテゴリー。直訳すると生物刺激剤という意味で、環境要因のような非生物的ストレスを軽減する技術のことを指します。植物やその周辺環境が本来持つ「自然な力」を活用することにより、植物や土壌をより良い状態にする資材です。

植物が受けるストレスは、大きく分けると「非生物的ストレス」と「生物的ストレス」の2つがあります。
非生物的ストレスとは、大雨や極端な気温変化などの環境の変化によるものや、酸性雨や農薬などの化学的な物によって生じるストレスのことを指します。
ストレスを受けた植物は、植物が本来持つ自然な力を発揮できていない状態であることが多いため、根本的な環境改善を行う必要があります。本来植物は種子の段階で最大収量が決まっています。そして、生長していく過程で病気や害虫(生物的ストレス)や極端な温度変化などの物理的な被害(非生物的ストレス)を受けることにより、最終的な収量が70〜80%減少することがわかっています。
つまり、本来100%の収量だったのが、生長過程で物理的・化学的・生物的ストレスを受けることによって20〜30%しか収穫できなくなるということです。
非生物的ストレスを抑えることができるだけでも収量は30〜40%回復します。この非生物的ストレスを最大限軽減すること、ここにバイオスティミュラント資材の本質的な価値があります。
一方で、生物的ストレスとは、虫害や菌害、植物同士の干渉(アレロパシー等)などの生物間でおこるストレスを指します。この生物的ストレスには、殺虫剤や殺菌剤、除草剤を用いた対処療法が効果的な場合もあります。
バイオスティミュラント資材も化学肥料や農薬も、どちらも有効な場面があるので、それぞれの効果を理解し、用法を使い分けることが持続可能な農業へと近づくのではないかと考えます。